水質について 飼育ガイド

アクアリウムとは?
アクアリウムとは? 水槽は魚に取って大切な居住空間
水槽で魚を飼育するためには、飼育水を用意しなければなりません。魚にとって水槽の水は非常に重要で、私たち人間に置き換えると部屋の空気そのものです。私たちは日々の生活の中で空気についてあまり考えませんが、呼吸することで空気に含まれる酸素を取り込み二酸化炭素を排出しています。また、快適に生活をするため、部屋の温度や湿度を調整したり部屋の空気に舞い上がっているハウスダストや菌などを少なく抑えて綺麗な環境にしています。水槽も同じで、心地よい環境を作り不要な物質を減らさなければ、魚は快適な生活を送ることが出来ません。
そして、私たちが日々生活をすることで部屋が汚れていくように、水槽で魚を飼育すると飼育水が汚れます。部屋のゴミは目で見えるために綺麗にすることは簡単ですが、水槽の場合は汚れた物質が水に溶け込んでしまい肉眼で確認することが難しくなります。そこで水質試験薬(水質テスター)を使用して水に溶け込んだ汚れを把握することが大切です。1週間に1度は、目に見えない汚れの確認をすることで快適な環境を確実に維持することが出来ます。また、水槽のろ過装置は水中に溶け込んだ有害物や魚の排泄物を除去する働きがあります。まるで空気清浄器やトイレのような重要な働きを行っています。
水質とは?

アクアリウムは化学的
観賞魚を水槽で飼育するためには、飼育する魚が喜ぶ飼育水(水質)を作成し維持しなければなりません。このガイドでは、特に重要な水質について説明します。アクアリウムでは、Cu(銅)、Cl(塩素)、PO4(リン酸塩)、SiO3(ケイ酸塩)、pH(ペーハー)、GH(総硬度)、KH(炭酸塩硬度)、Fe(鉄)、Ca(カルシウム)、Mg(マグネシウム)、O2(酸素)、CO2(二酸化炭素)、NH4/NH3(アンモニア)、NO2(亜硝酸塩)、NO3(硝酸塩)などの水質と水温について考えましょう。まずは、飼育手順に合わせて3つのグループに分けます。

ステップ1は、水道水に含まれる有害な不要物質です。
ステップ2は、生き物に必要な物質です。
ステップ3は、生き物の排泄物から発生する有害な物質です。

これら複数の水質を上手にコントロールすることで魚を安全に飼育することが出来ます。
水質とは?
基準値について 淡水の基準値についてはこちら 海水の基準値についてはこちら

アクアリウム総合メーカーの強み
セラ社の製品は「有害物質の除去」「生物に必要な物質の補充」「生物の排泄物から発生する有害物質の除去」全てをサポートすることが出来ます。セラ社は、水質調整剤・水質測定試薬・餌・水槽・照明器具・フィルターまで全てのアクアリム用品を製造しているアクアリウム総合メーカーです。飼育に関する全ての知識を飼育者へ発信しています。

ドイツセラ社について詳しくはこちら クリック
水質ガイドのアドバイス
アクアリウムでは、多くの化学的物質が登場します。これらの物質は水の中で複雑に関連しているために、1つを調整するとその他の物質に作用してしまう事があります。そのため、全ての水質に気を配ることが重要になります。このガイドでは、化学記号のマークから詳しい情報を知ることが出来ます。
水質ガイドのアドバイス
水道水に含まれる有害物質の除去
水道水に含まれる有害物質の除去
クリック Cl Cu PO4 SiO3
飼育水を作るときに除去する物質
飼育水を作るためには、水道水に含まれる有害物質を除去しなければなりません。セラテスター(水質測定試薬)を使用して、水道水に含まれる有害物質を測定してください。一般的な水道水には、塩素(Cl)や重金属(Cu)などの魚に有害な物質が含まれています。これら有害物質の量は、地域や季節によって変化しますので定期的な測定をお勧めします。ClやCuは、seraアクタンを使用することで完全に除去することが出来ます。また、リン酸塩(PO4)やケイ酸塩(SiO3)の濃度にも気を付けてください。PO4やSiO3の濃度が著しく高い場合には、seraフォスベックグラニュレイトやseraケイ酸塩クリアーを使用して除去してください。
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生き物に必要な物質
生き物に必要な物質
クリック 水温 PH GH KH
魚は生息していた環境によってそれぞれ異なった水質を好みます。熱帯地域で生息している熱帯魚は暖かい水を好み、金魚や鯉などは熱帯魚ほど暖かい水を好みません。また、ミネラル分の少ない軟水を好む魚もいればミネラル分が豊富な硬水を好む魚もいます。飼育する種類に合わせて飼育水を用意してください。
飼育を始めると最初に準備した水が徐々に変化します。水温は外気温度に左右され変化します。ミネラル成分は生き物に消費されて徐々に少なくなる場合や、砂や土から排出され多くなることもあります。また、pH値は水に含まれる酸性物質やアルカリ性物質、また酸素や二酸化炭素によっても変化します。そのため、定期的に測定し調整しなければなりません。
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水温について
水温とは、水の温度のことです。日本では摂氏(℃)の単位で表され、アメリカやイギリスなどの英国圏では華氏(℉)が使われています。華氏℉=32+(℃×1.8)で計算することが出来ます。
魚を飼育するためには飼育水の温度を飼育する生き物に最適な温度に調整しなければなりません。一般的な熱帯魚の適正水温は24℃~26℃です。水温を測定するためには、水槽用の水温計を使用してください。セラ社の温度計は、水中に設置するタイプと水槽の外側に張り付けるシールタイプの2種類の温度計があります。飼育する生き物に合わせて選択してください。水温を上昇させる為には、水槽専用のヒーターで温めます。水温を下げるためには、室内のクーラーで外気温度を下げて飼育水を冷やすか、水槽専用のクーラーを設置して下さい。
pHについて
pHとは、ペーハー(ドイツ読み)やピーエイチ(英語読み)などと呼ばれ、水素イオンの濃度を表しています。pHは酸性の度合いとアルカリ性の度合いを示すもので、酸性からアルカリ性の間に0~14の目盛を付けて酸性とアルカリ性の度合いを数字で表しています。
生息環境によって異なるpH値
一般的なアクアリウムでは、pH値6~7の弱酸性とpH値7~8の弱アルカリ性の範囲で魚を飼育します。南米アマゾン川に生息している淡水魚と海に生息している海水魚は、それぞれ異なる水域に生息している為、異なる水質を好みます。アマゾン川のような河川の水は、褐色で多くの植物と豊富な土や泥からフミン酸などの酸性物質が溶け込み弱酸性の水をしています。そのためアマゾン川の淡水魚を飼育するためには、pH値6.5ほどの弱酸性の飼育水を作らなければなりません。一方、海の水は透明で豊富なミネラルと塩分を含むアルカリ性の水です。海水魚の飼育には、豊富なミネラルや塩分を含むpH値8.2程の海水の飼育水を用意しなければなりません。
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酸性・中性・アルカリ性
ペーハーショックとは
pH値が「1」変化すると10倍の異なる水に変化することになります。短時間でpH値が急激に変化することは魚にとって危険です。pH値が「2」異なる水は100倍の性質の異なる水になります。魚はpH値の急変によってショック状態(ペーハーショック)になることがありますので注意してください。
魚はpH値の急変に敏感です。pH値が「1」異なる水に慣れさせるためには、約60分間かけてゆっくり慣れさせる必要があります。新しく魚を導入する際は気を付けてください。
硬度について
GHは総硬度、KHは炭酸塩硬度と呼ばれどちらも水の硬度に関係します。GHは水に含まれるミネラルを測定し、KHはミネラルと二酸化炭素から生成される炭酸水素イオン(HCO3)を測定します。
水質に関わる要件の1つに、「軟水」と「硬水」があります。水に含まれるカルシウムやマグネシウムなどのミネラル成分が多く含まれている水を「硬水」、少ない水を「軟水」と言います。アマゾン川は、ミネラルの少ない軟水で海の水はミネラル豊富な硬水になります。
また、日本の水道水は軟水でヨーロッパの水道水は硬水です。飼育水の硬度を測定するためには、まずGH(総硬度)を測定してください。GH値が高ければ硬水でGH値が低ければ軟水です。kHは、飼育水のアルカリ度を測定します。水中の炭酸水素イオンを測定し、pH値の緩衝度合いを測定します。
GHとkHとpHの関係
硬度が低いからといって、必ずpH値が低いとは限りません。硬度とpH値は深い関わりがありますが「軟水はpH値が低い」「硬水はpH値が高い」とは断定できません。
pH値は水に含まれるその他の要因によっても左右されるからです。
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その他の物質について その他の物質について Fe Ca Mg O2 CO2
水草は鉄分(Fe)やミネラルを葉や根から栄養分として取り込みます。水草を水槽で育成する場合は、水中に含まれる鉄分を測定し補うことが必要です。また、水草は生長過程において光合成を行い二酸化炭素(CO2)を吸収して酸素(O2)を排出します。排出されたO2は、水棲生物の呼吸によって消費されCO2が排出されます。水槽内ではCO2とO2が常に増えたり、減ったりしています。自然なリサイクル作用を利用するために、水槽には魚と水草を一緒に飼育することをお勧めします。
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海水には多くのミネラルが含有しています。特にカルシウム(Ca)やマグネシウム(Mg)は、無脊椎動物の成長に欠かせません。魚は主たる栄養を食べ物から取り込みますが、特にイシサンゴなどの無脊椎動物は海水中に含まれるミネラルを吸収しなければ成長することが出来ません。CaやMgは骨格の形成に不可欠な栄養です。その他微量に含まれる微量元素は多くの種類があり、飼育者が全てを調整することは困難です。微量元素の添加剤や飼育水を新しく交換することで補ってください。
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生物の排泄物から発生する有害物質
生物の排泄物から発生する有害物質
クリック NH4NH3 NO2 NO3 PO4
飼育を始めると発生する有害物質の除去
生き物を飼育すると必ず餌の給餌が必要になります。魚は消化しきれなかった食物を排泄物として水中に排出します。排泄物は水に溶け込み魚にとって有害な物質に変化します。そのため、排泄物を少なくするために消化吸収に優れた餌を与えることが重要です。排泄物は硝化バクテリアの働きによって、アンモニアから亜硝酸塩、亜硝酸塩から硝酸塩へ変化します。これらの有害物質は、早い段階で分解し無害な物質へ変化させる必要があります。また、水道水や餌に含まれる微量のリン酸塩は、徐々に蓄積されるため低い濃度に調整することが大切です。リン酸塩は苔の増殖や病気の引き金になる物質のため注意してください。
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浄化システムのリサイクル
なるべく簡単にアクアリウムを楽しむためには、自然の浄化サイクルを水槽内で再現することです。水草は光合成によって二酸化炭素(CO2)を吸収して酸素(O2)を放出します。水棲生物はO2を呼吸によって消費しCO2を排出します。このO2とCO2の循環は非常に重要です。さらに、水草は魚の排泄物を栄養源として取り込みます。水草と魚を一緒に飼育することは、どちらにとっても理想的なことです。しかし、水草は魚の排泄物を直接取り込むことは出来ません。水草が取り込める物質に変換するために硝化バクテリアが重要な働きを行います。硝化バクテリアは、ろ過槽内のろ過材に定着し排泄物を分解します。硝化バクテリアは「水槽内の小さな掃除屋さん」といった感じです。働き者の「水槽内の小さな掃除屋さん」を効率よく働かせる事が水質浄化のポイントです。
浄化システムのリサイクル
浄化バクテリアの働き
水槽内の有害物を分解する硝化バクテリアは、アンモニア(NH4/NH3)を亜硝酸塩(NO2)に変換する好気性のバクテリアと亜硝酸塩(NO2)を硝酸塩(NO3)に変換する好気性のバクテリアが存在します。これら好気性バクテリアは酸素を必要とします。硝化バクテリアは多孔質ろ材seraシポラックスⓇに活着し、バイオフィルムを形成しながら増殖します。イメージとしては蜘蛛の巣のようなものが重なり合って増えていく感じです。これら硝化バクテリアが十分に機能することで、有害物質を比較的無害な硝酸塩に変換してくれます。硝酸塩は水草に吸収され水草の栄養になりますが、吸収しきれない硝酸塩は嫌気性のバクテリアによって窒素に変換されます。嫌気性バクテリアが十分に機能していない水槽は、水換えによって硝酸塩を除去しなければなりません。
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seraシポラックスに定着する硝化バクテリア(右側緑色の粒)
安定した硝化バクテリアを維持し、飼育水の汚染物質を除去する事は、頻繁に発生する病気や苔のトラブルを初期段階で防止することに繋がります。 シポラックスの特設ページはこちら
水質検査の重要性
水槽の水質を把握することで、飼育している生物に最適な環境を提供することが出来ます。透明な飼育水を目視で判断することは不可能です。安心して生き物を飼育するためには、定期的に水質を確認することを心がけましょう。測定した数値が推奨範囲外にある場合は、早急な処置が必要です。

常に測定する項目
pH値、炭酸塩硬度(kH)、アンモニウム(NH4/NH3)、亜硝酸塩(NO2)は、最も重要な測定項目です。基準値と大幅に異なる場合には、生き物の生命を脅かす事態に繋がる可能性があります。魚の挙動がおかしい時や魚の外観に異常が見られる時、その他の異常が見られる時(水草が突然枯れる)には、これらの水質を測定してください。

定期的に測定する項目
総硬度(GH)、硝酸塩(NO3)、リン酸塩(PO4)、鉄(Fe)、銅(Cu)、塩素(Cl)、ケイ酸塩(SiO3)、酸素(O2)は、アクアリウム経験者なら誰もが重要であることを理解しています。しかし、これらの水質の測定は通常の水質測定周期に合わせなくても問題はありません。これら物質による被害の危険を感じた時(中毒症状、藻類の発生、酸欠)には、いち早く測定して問題の解決を行ってください。
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自分の水槽を把握するために、飼育水を定期的に測定し記録しましょう!
記録に便利な「あなただけのチェックシート」を活用してください。
飼育する生物に合わせて最適な水質値を「適正値欄」に記載し、あなただけのオリジナルチェックシートを作成しましょう!
チェックシート 淡水チェックシートはこちら 海水チェックシートはこちら
水質の悪化は病気の原因
生き物に最適で汚染されていない飼育水を維持する事は、最高の病気予防になります。「飼育水がその魚に適切でない」「長期間汚染水で飼育をしている」「瞬間的な水質の悪化」は、生き物の体調が崩れます。しかし、きちんと管理をしていても全ての疾患を回避することは出来ません。
3つの注意
もしも、魚が病気になってしまったら、症状を悪化させないために迅速な対応と的確な処置を行って下さい。大切なペットの健康を守ることが出来るのは、飼育者の予防管理と早期対応しかありません。
セラ社の魚病薬は、日本で購入することが出来ません。もし、薬品による治療を行った際は、seraスーパーカーボンを使用して残薬を取り除き飼育水を綺麗にしてください。その後、バクテリアによる浄化作用が正しく機能するように環境を整えてください。当然、薬品はバクテリアにもダメージを与えるからです。

水質ばかりに囚われると本来の目的を見失います。水質検査は非常に重要で飼育者の助けになりますが、試薬で測定できる範囲は限られています。1つの水質で「0.1」気にするぐらいならば、その他の水質を測定してください。水槽は、時間とともに常に水質が変化しますので、測定時の結果が全てではありません。また、より精密な水質調整はアクアリウムの飼育器材レベルでは出来ません。

アクアリウムの飼育器材は、あくまでもアクアリウムを楽しく行うためのツールにすぎません。アクアリウム以外の用途に使用することはお勧めしません。
「水質は難しい!」・・・「化学は難しい」・・・誰もが最初は感じる事です。あまり難しく考えずに楽しんでください。セラドイツのドクターが代わりに考え、アクアリウムに最適な製品を作っています。私たちの生活も化学の上で成り立っていますが、日々そんなことを考えて生きていません。アクアリウムも同じです。セラジャパンは魚を大切に飼育するアクアリストを応援します。