水槽で魚を飼育するためには、飼育水を用意しなければなりません。魚にとって水槽の水は非常に重要で、私たち人間に置き換えると部屋の空気そのものです。私たちは日々の生活の中で空気についてあまり考えませんが、呼吸することで空気に含まれる酸素を取り込み二酸化炭素を排出しています。また、快適に生活をするため、部屋の温度や湿度を調整したり部屋の空気に舞い上がっているハウスダストや菌などを少なく抑えて綺麗な環境にしています。水槽も同じで、心地よい環境を作り不要な物質を減らさなければ、魚は快適な生活を送ることが出来ません。
そして、私たちが日々生活をすることで部屋が汚れていくように、水槽で魚を飼育すると飼育水が汚れます。部屋のゴミは目で見えるために綺麗にすることは簡単ですが、水槽の場合は汚れた物質が水に溶け込んでしまい肉眼で確認することが難しくなります。そこで水質試験薬(水質テスター)を使用して水に溶け込んだ汚れを把握することが大切です。1週間に1度は、目に見えない汚れの確認をすることで快適な環境を確実に維持することが出来ます。また、水槽のろ過装置は水中に溶け込んだ有害物や魚の排泄物を除去する働きがあります。まるで空気清浄器やトイレのような重要な働きを行っています。
アクアリウムは化学的
ステップ1は、水道水に含まれる有害な不要物質です。 |
アクアリウム総合メーカーの強み
セラ社の製品は「有害物質の除去」「生物に必要な物質の補充」「生物の排泄物から発生する有害物質の除去」全てをサポートすることが出来ます。セラ社は、水質調整剤・水質測定試薬・餌・水槽・照明器具・フィルターまで全てのアクアリム用品を製造しているアクアリウム総合メーカーです。飼育に関する全ての知識を飼育者へ発信しています。
アクアリウムでは、多くの化学的物質が登場します。これらの物質は水の中で複雑に関連しているために、1つを調整するとその他の物質に作用してしまう事があります。そのため、全ての水質に気を配ることが重要になります。このガイドでは、化学記号のマークから詳しい情報を知ることが出来ます。
|
飼育水を作るときに除去する物質
飼育水を作るためには、水道水に含まれる有害物質を除去しなければなりません。セラテスター(水質測定試薬)を使用して、水道水に含まれる有害物質を測定してください。一般的な水道水には、塩素(Cl)や重金属(Cu)などの魚に有害な物質が含まれています。これら有害物質の量は、地域や季節によって変化しますので定期的な測定をお勧めします。ClやCuは、seraアクタンを使用することで完全に除去することが出来ます。また、リン酸塩(PO4)やケイ酸塩(SiO3)の濃度にも気を付けてください。PO4やSiO3の濃度が著しく高い場合には、seraフォスベックグラニュレイトやseraケイ酸塩クリアーを使用して除去してください。 |
魚は生息していた環境によってそれぞれ異なった水質を好みます。熱帯地域で生息している熱帯魚は暖かい水を好み、金魚や鯉などは熱帯魚ほど暖かい水を好みません。また、ミネラル分の少ない軟水を好む魚もいればミネラル分が豊富な硬水を好む魚もいます。飼育する種類に合わせて飼育水を用意してください。
飼育を始めると最初に準備した水が徐々に変化します。水温は外気温度に左右され変化します。ミネラル成分は生き物に消費されて徐々に少なくなる場合や、砂や土から排出され多くなることもあります。また、pH値は水に含まれる酸性物質やアルカリ性物質、また酸素や二酸化炭素によっても変化します。そのため、定期的に測定し調整しなければなりません。 |
pH値が「1」変化すると10倍の異なる水に変化することになります。短時間でpH値が急激に変化することは魚にとって危険です。pH値が「2」異なる水は100倍の性質の異なる水になります。魚はpH値の急変によってショック状態(ペーハーショック)になることがありますので注意してください。
GHは総硬度、KHは炭酸塩硬度と呼ばれどちらも水の硬度に関係します。GHは水に含まれるミネラルを測定し、KHはミネラルと二酸化炭素から生成される炭酸水素イオン(HCO3)を測定します。
水質に関わる要件の1つに、「軟水」と「硬水」があります。水に含まれるカルシウムやマグネシウムなどのミネラル成分が多く含まれている水を「硬水」、少ない水を「軟水」と言います。アマゾン川は、ミネラルの少ない軟水で海の水はミネラル豊富な硬水になります。
また、日本の水道水は軟水でヨーロッパの水道水は硬水です。飼育水の硬度を測定するためには、まずGH(総硬度)を測定してください。GH値が高ければ硬水でGH値が低ければ軟水です。kHは、飼育水のアルカリ度を測定します。水中の炭酸水素イオンを測定し、pH値の緩衝度合いを測定します。
GHとkHとpHの関係
硬度が低いからといって、必ずpH値が低いとは限りません。硬度とpH値は深い関わりがありますが「軟水はpH値が低い」「硬水はpH値が高い」とは断定できません。 pH値は水に含まれるその他の要因によっても左右されるからです。 |
|
飼育を始めると発生する有害物質の除去
生き物を飼育すると必ず餌の給餌が必要になります。魚は消化しきれなかった食物を排泄物として水中に排出します。排泄物は水に溶け込み魚にとって有害な物質に変化します。そのため、排泄物を少なくするために消化吸収に優れた餌を与えることが重要です。排泄物は硝化バクテリアの働きによって、アンモニアから亜硝酸塩、亜硝酸塩から硝酸塩へ変化します。これらの有害物質は、早い段階で分解し無害な物質へ変化させる必要があります。また、水道水や餌に含まれる微量のリン酸塩は、徐々に蓄積されるため低い濃度に調整することが大切です。リン酸塩は苔の増殖や病気の引き金になる物質のため注意してください。 |
なるべく簡単にアクアリウムを楽しむためには、自然の浄化サイクルを水槽内で再現することです。水草は光合成によって二酸化炭素(CO2)を吸収して酸素(O2)を放出します。水棲生物はO2を呼吸によって消費しCO2を排出します。このO2とCO2の循環は非常に重要です。さらに、水草は魚の排泄物を栄養源として取り込みます。水草と魚を一緒に飼育することは、どちらにとっても理想的なことです。しかし、水草は魚の排泄物を直接取り込むことは出来ません。水草が取り込める物質に変換するために硝化バクテリアが重要な働きを行います。硝化バクテリアは、ろ過槽内のろ過材に定着し排泄物を分解します。硝化バクテリアは「水槽内の小さな掃除屋さん」といった感じです。働き者の「水槽内の小さな掃除屋さん」を効率よく働かせる事が水質浄化のポイントです。
|
水槽内の有害物を分解する硝化バクテリアは、アンモニア(NH4/NH3)を亜硝酸塩(NO2)に変換する好気性のバクテリアと亜硝酸塩(NO2)を硝酸塩(NO3)に変換する好気性のバクテリアが存在します。これら好気性バクテリアは酸素を必要とします。硝化バクテリアは多孔質ろ材seraシポラックスⓇに活着し、バイオフィルムを形成しながら増殖します。イメージとしては蜘蛛の巣のようなものが重なり合って増えていく感じです。これら硝化バクテリアが十分に機能することで、有害物質を比較的無害な硝酸塩に変換してくれます。硝酸塩は水草に吸収され水草の栄養になりますが、吸収しきれない硝酸塩は嫌気性のバクテリアによって窒素に変換されます。嫌気性バクテリアが十分に機能していない水槽は、水換えによって硝酸塩を除去しなければなりません。
|
常に測定する項目
pH値、炭酸塩硬度(kH)、アンモニウム(NH4/NH3)、亜硝酸塩(NO2)は、最も重要な測定項目です。基準値と大幅に異なる場合には、生き物の生命を脅かす事態に繋がる可能性があります。魚の挙動がおかしい時や魚の外観に異常が見られる時、その他の異常が見られる時(水草が突然枯れる)には、これらの水質を測定してください。
総硬度(GH)、硝酸塩(NO3)、リン酸塩(PO4)、鉄(Fe)、銅(Cu)、塩素(Cl)、ケイ酸塩(SiO3)、酸素(O2)は、アクアリウム経験者なら誰もが重要であることを理解しています。しかし、これらの水質の測定は通常の水質測定周期に合わせなくても問題はありません。これら物質による被害の危険を感じた時(中毒症状、藻類の発生、酸欠)には、いち早く測定して問題の解決を行ってください。
記録に便利な「あなただけのチェックシート」を活用してください。
飼育する生物に合わせて最適な水質値を「適正値欄」に記載し、あなただけのオリジナルチェックシートを作成しましょう!
水質ばかりに囚われると本来の目的を見失います。水質検査は非常に重要で飼育者の助けになりますが、試薬で測定できる範囲は限られています。1つの水質で「0.1」気にするぐらいならば、その他の水質を測定してください。水槽は、時間とともに常に水質が変化しますので、測定時の結果が全てではありません。また、より精密な水質調整はアクアリウムの飼育器材レベルでは出来ません。 アクアリウムの飼育器材は、あくまでもアクアリウムを楽しく行うためのツールにすぎません。アクアリウム以外の用途に使用することはお勧めしません。 |
「水質は難しい!」・・・「化学は難しい」・・・誰もが最初は感じる事です。あまり難しく考えずに楽しんでください。セラドイツのドクターが代わりに考え、アクアリウムに最適な製品を作っています。私たちの生活も化学の上で成り立っていますが、日々そんなことを考えて生きていません。アクアリウムも同じです。セラジャパンは魚を大切に飼育するアクアリストを応援します。
|