淡水魚について 飼育ガイド

アクアリウムを始める前に

一般的には異なる種類の魚が同じ水槽内で一緒に飼育されます。その為、飼育する魚たちが生活していた自然環境を学ぶことがとても重要です。一緒に飼育が可能な種類や魚の好む水質を把握することがとても大切です。このガイドでは、淡水水槽を始めるための基本をアドバイスします。

魚たちはそれぞれ独自の特徴を持っています。その為、自然界ですべての生物が仲良く共存している訳ではありません。アクアリウムでは、飼育するそれぞれの魚が調和するように縄張りや習性、睡眠や食性などを考慮しなければなりません。仮に、1種類の魚を1匹だけ飼育する場合は、1匹で飼育する事が本当に最適であるのか考えなければなりません。自然界の生き物たちは、単独1匹だけで生存していることは有りえないからです。
アクアリウムを始める前に
ビオトープとは「全ての地球環境を再現するもの」としての通称です。このガイドでは、特定の環境を示している訳ではありません。セラ社の推奨するアクアリウムは、自然に習った飼育方法を基本とし、飼育する魚たちが生れ育った環境を水槽内で再現するナチュラルアクアリウムです。自然に習った飼育方法が生き物にとって最善であると考えているからです。
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飼育する魚を選ぶ際のポイント
飼育する魚を選ぶ前に必ず水槽の大きさを確認してください。淡水魚の場合は基本的に、成魚1cmに対して水1リットルが必要になります。(100L水槽には5cmの成魚が20匹飼育出来ます)また、数種類の魚たちを同じ水槽内で飼育をする際は、それぞれの魚の習性や食性を考えながら混泳させてください。
水槽で魚を上手に飼育するためには、異なる水深に生息する種類を組み合わせてください。魚はそれぞれ異なった水深で暮らしています。多くの種類は水面のすぐ下の上層を泳ぎ、中層や低層を好む種類もいます。コミュニティ水槽には全ての層に魚が泳ぐように考えてください。
自然界では、殆どの観賞魚は群れで生活をしています。とくに小型の魚たちは群れで生活をして外敵から身を守っています。水槽での飼育も1種類6~8匹をグループで飼育することをお勧めします。そうすることで、本来の魚の魅力を水槽内で楽しむことが出来ます。
コミュニティ水槽には、藻を食べる魚を一緒に飼育してください。なるべく小型のプレコ(ホワイトエッジ・アンキストルス)やオトシンクルスをお勧めします。これらの魚は常に水槽のガラス面や水草や岩に着いた藻類を食べてくれます。その他にもグッピーやプラティ、ブラックモーリー、ソードテールなども藻類を食べます。
色々な淡水魚のアクアリウム

淡水魚のアクアリウムは、暖かい水で飼育する熱帯性淡水魚とやや冷たい水で飼育する冷淡水魚に分かれます。さらに、生息地の違いからいくつかのグループに分かれます。

このガイドでは、代表的な「南米のアクアリウム」「中米のアクアリウム」「アジアのアクアリウム」「金魚のアクアリウム」に分けてご紹介します。その他にもアフリカンシクリッドを観賞する東アフリカ湖のアクアリウムや庭池で楽しむ鯉のアクアリウムなどがあります。各アクアリウムの水槽には同じ原産地の魚と水草を入れることをお勧めします。
色々な淡水魚のアクアリウム

南米のビオトープアクアリウムは、地球上の大きな川であるアマゾン川の再現です。南アメリカのアマゾン川には、多くのカラフルな熱帯魚が多数生息しています。大きな特徴は緑豊かな水草を育てる事です。生息環境に合わせて石や流木を飾り付けることも大切です。水質は弱酸性の軟水に調整してください。

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南米の魚たち

南米に生息するカラシンの仲間は水槽の中層を好みます。グループ飼育が望ましく、数が多ければ多いほど本来の美しさが際立ちます。シクリッドの仲間はとても興味深い習性を持っています。シクリッドの中でも、エンゼルフィッシュやドワーフシクリッドなどが初心者向きです。

コミュニティ水槽では上層を泳ぐ魚たち以外の中層魚や低層魚にも餌がきちんと行き渡るように注意が必要です。低層魚のコリドラスの仲間は群れで生活をする魚のため、1種類につき最低でも4匹以上で飼育することをお勧めします。また、コリドラスは1日中低層で餌を探し良く餌を食べるため、残飯掃除ほどの少量の食事では栄養が足りません。他の魚同様にバランスの取れた給餌をしてください。

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中米のビオトープアクアリウムは、流れの緩やかな透き通った水景の再現です。活発でカラフルなライブベアリングの魚(グッピーやプラティ)などが生息しています。これらのライブベアリングの魚を飼育する水槽では、稚魚の生まれる様が時折見つけることが出来ます。水質は中性から弱アルカリ性に調整してください。

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中米産の魚たち

ライブベアリングの仲間は、初心者から上級者までお勧めの種類です。これらの種類は比較的おとなしく、水槽の上層を活発に泳ぎます。これら卵胎生メダカは体内で卵を孵化させ、生まれた時にはすでに魚の稚魚として泳ぎだします。非常に繁殖力が高く水槽内でも比較的容易に繁殖を楽しむことができます。

基本的には、植物性の餌や色揚げ効果の高い餌がお勧めです。産卵前や産卵後の栄養補給には、seraフィッシュタミンを直接餌に添加して親魚の健康を高めて下さい。また、生まれた稚魚にはパウダー状のseraミクロンにseraフィッシュタミンを添加して練り込んだものを与えて下さい。オキアミとスピルリナ藻で作られたseraミクロンにビタミンを強化することで、あらゆる稚魚の育成に最適なベビーフードになります。

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アジアのビオトープアクアリウムは、溶存酸素量の比較的少ないアジアの緩やかな河川や池や沼の再現です。これらの水域には、ラビリンス器官を持つ色鮮やかな魚(ベタやドワーフグラミー)などが生息しています。これらの魚は、他の魚には見られない水面での酸素呼吸を行います。水質は中性から弱アルカリ性に調整してください。

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アジアの魚たち

アナバスの仲間は水草の多く茂った環境を好みます。とても穏やかで他の魚にほとんど危害を加えません。アナバス属の魚は、名前の由来である迷宮器官(ラビリンス)を持っています。そのため水面で空気を吸い呼吸するが出来ます。ベタの仲間もこれらアナバスの仲間です。そのため簡易的なビンでも生かすことは可能ですが、水槽での正しい飼育をお勧めします。

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殆どの熱帯性観賞魚は、水温25℃でpH値が6.5~7.5の中性の水に順応することが出来ます。しかし、弱酸性を好む魚は弱酸性で弱アルカリ性を好む魚は弱アルカリ性で飼育することをお勧めします。なぜならば、魚にとって最適な環境だからです。
金魚観賞の歴史はとても古く、1000年以上も前から中国で行われていました。美しい金色や赤色に輝く金魚は、今も昔も富と幸福のシンボルです。金魚はとても多くの種類が存在していますが、全ての種類が手入れの簡単な水槽飼育に適している訳ではありません。金魚のなかにはとても風変わりな種類も存在しています。あまりに奇抜な種類に関しては不自由を被って苦しんでいる可能性があるために、セラでは観賞魚としてお勧めしません。
金魚はとても美しく、とても活発な魚です。種類によっては、熱帯魚よりも飼育が簡単で丈夫な魚です。大半の金魚は熱帯魚のように群れで暮らしている魚ではありませんが、単独飼育が望ましい訳でもありません。組み合わせに注意しながら複数匹の混泳アクアリウムをお勧めします。
和金などの体形が細長く活発に泳ぐ金魚と琉金やオランダシシガシラなどの丸みを帯びた体形の金魚は、別々の水槽で飼育することをお勧めします。また、水槽には大磯砂などの砂利を敷き入れ食害にあわない種類の水草を植えて下さい。水草を植えることで水質浄化サイクルを水槽内に取り込むことが出来ます。
金魚の飼育水は、一般的に水温約18℃~24℃の範囲で飼育します。水質は弱アルカリ性に調整して下さい。また、日本の水道水は軟水のため、seraミネラルソルトを使用して飼育水に十分なミネラルを補ってください。pH値の変動や水質の悪化は、生き物に様々な障害を引き起こしますので定期的な水質測定をお勧めします。また、金魚は熱帯魚よりも消化吸収能力が劣るため食事には注意が必要です。消化吸収の悪い食事は、水質の悪化に直結し金魚の健康を害します。

金魚鉢などの簡易的な水槽では、魚を健康的に飼育することは出来ません。魚は体の横にある側線から水圧や水流を感知します。魚が動くことで球体のガラス面に波紋が反射し魚にストレスを与えることになります。また、過剰なエアレーションの「ブクブク」もストレスになりますので好ましくはありません。

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金魚はいつでもお腹を空かせているように見えますが、その様子に惑わされないでください。1日に3回程の食事をきちんと与えていれば十分です。1回の食事は、金魚が数分で食べつくす程度が理想的で、週に1度餌を与えない日があっても構いません。食生活に変化を持たせるために、2~3種類のフードを用意してください。これらは混ぜないで別々に与える事をお勧めします。購入するフードのサイズは、3ヵ月ほどで使い切るサイズがお勧めです。開封したフードは、酸素と触れることで食材の風味や栄養価が徐々に害うからです。
また、金魚には良質な専用フードを与えて下さい。金魚の胃は、腸と同じような構造になっている為に、過剰なタンパク質を消化することが出来ません。その為、金魚は熱帯魚と異なりタンパク質よりも消化の良い炭水化物が必要です。過剰なタンパク質の給餌は水質の汚染を招き、様々な健康被害を引き起こします。そして、金魚に適した栄養を与えないと色褪せの原因になります。
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金魚の水槽にお勧めの水草
金魚水槽には豊かな緑が欠かせません。水草は単に見た目の装飾という事ではなく、飼育水に溶け込んでいる有害物質の除去や酸素生成という大切な役割を担っています。しかし、金魚は水草を食害するのでアヌビアスのような固い葉の水草を選んでください。稚魚の育成水槽には、成長の早いマツモ、アマゾンチドメグサ、アナカリスなどがお勧めです。マツモのような生長の早い水草は、水中に十分な酸素を供給し苔の原因となる硝酸塩を吸収します。
アフリカンシクリッドと呼ばれる種類の魚たちは、アフリカ大陸のタンガニイカ湖やマラウィ湖などのアルカリ性の高い湖に生息している為、飼育水をアルカリ性に調整しなければなりません。これらの魚たちは汽水魚とは異なるため、薄い塩水(海水)で飼育する訳ではありません。seraミネラルソルトを使用して最適な硬度の水質に調整して下さい。 製品ページ 製品ページへ 製品ページへ
大きく育つ鯉は庭池での飼育をお勧めします。sera コイ プロフェッショナルシリーズは、季節によって必要な栄養素が変化する池の鯉に合わせて「春/秋用」「夏用」「冬用」に分かれています。植物性栄養強化の「スピルリナ」は、色揚げ効果や健康維持に最適です。 製品ページ 製品ページへ 製品ページへ 製品ページへ 製品ページへ
水草と魚を一緒に育てよう

水槽において水草はとても大切な役割を果たします。魚の排泄物の分解や生き物にとって不可欠な酸素を水中に供給します。また、魚の休息場所になり魚をストレスから守ります。水槽内の水草は見た目だけではなく、飼育している魚にとって非常に有効的な働きがあります。そのため、魚と水草を一緒に飼育するビオトープアクアリウムをお勧めします。

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水草と魚を一緒に育てよう
水槽の設置と立ち上げ方 水槽の設置
飼育する生き物が決定したら、いよいよ水槽の準備です。飼育する魚たちの喜ぶ環境をイメージしながら水槽を作成してください。水槽の設置と立ち上げ方について詳しくは、「Movie-水槽の設置方法」の動画や「水槽のセッティング-5steps」をご覧ください。
Movie -水槽の設置方法- 水槽のセッティング-5steps クリック
アクアリウムを始めるためには、飼育する魚に適した環境を飼育者が準備しなければなりません。魚を導入した日からは、給餌や水質管理など生き物の世話が始まります。特に、水槽の環境が安定するまで立ち上げから20日間は注意してください。魚の排泄物による飼育水の汚染を最小限にするために、魚を導入してから数週間は餌の量を少なくして、アンモニア(NH4/NH3)と亜硝酸塩(NO2)の濃度をモニタリングすることが重要です。また、生分解バクテリアを有効利用する為にseraバイオニトリベックを「立ち上げ時」と水換えの度「毎週」投与し続けてください。有害物質の濃度が著しく高い緊急の場合は、seraアクアチューナーで迅速に除去することをお勧めします。「セラ式水槽の立ち上げ20日間スケジュール」を参考に、安心安全な水槽の立ち上げを行って下さい。
セラ式水槽立ち上げ20日間のスケジュール
アクアリウムを維持する上で、定期的なメンテナンスは不可欠です。必ず、汚れる前に綺麗にすることを心がけて下さい。また、魚たちの飼育環境(水質)や健康状態のチェックをしてください。 Movie -水換え方法-
水槽の設置と立ち上げ方
日々の管理をきちんと行っていても、突然生き物の体調が崩れることがあります。体調を崩した魚を元気にするためには、水質の確認をして適切な処置をしなければなりません。また、魚を病気から守るために一番大切なことは、早期発見と早期治療です。飼育者がいち早く変調に気が付くことで魚を病気から救うことができます。
体調を崩した魚に対して薬品治療を行った後は、seraスーパーカーボンseraアクタンを使用して飼育水中の残薬を取り除き飼育水を綺麗にしてください。その後、バクテリアによる浄化作用が正しく機能するように環境を整えてください。当然、薬品はバクテリアにもダメージを与えるからです。
一度、飼育を始めたペットは最後まで責任を持って飼育をしましょう!川や池に逃がすようなことはしないでください。最後まで愛情をもって飼育をしてください。