海水魚について 飼育ガイド

水槽で飼育可能な海水魚

地球の約3分の2は水に覆われ大部分は広大な海です。一般的な海水魚の飼育は、暖かい海のサンゴ礁や環礁で生活をしている魚たちが主として飼育されています。マグロや深海魚などの海水魚は、一般家庭の水槽飼育には向きません。また、最近では海水魚と一緒にサンゴやイソギンチャクといった無脊椎動物を水槽内で飼育出来るようになりました。サンゴ礁を形成するイシサンゴやソフトコーラルなども水槽で育成し増やすことも可能です。しかし、ハードコーラルに分類されるイシサンゴの中には、強く変化にとんだ水流と強力な光りを必要とする種類があり小型水槽には向きません。始めは比較的簡単なソフトコーラルの仲間を飼育する事をお勧めします。このサイトでは、美しい海水水槽を維持するための基本ステップを簡単に紹介するもので、個々の生物の飼育に必要な専門書に代わる物ではない事を予めご了承ください。セラ社はチョット難しいアクアリウムを比較的簡単に楽しむ方法をアドバイスするメーカーです。

まず、比較的容易に海水魚を飼育するためにいくつかのアドバイスがあります。①生息地の異なる種類を同じ水槽内で飼う事は、トラブルを起こしストレスの原因になるために避けてください。②小型水槽では大きくなる魚は飼育ができません。成魚になった時の大きさを確認してから購入してください。③タツノオトシゴやヨウジウオの仲間は、頻繁に給餌が必要なため初心者向きの生き物ではありません。肉食魚も避けた方が賢明です。④なるべく1~2種類程の小型魚を中心にサンゴやイソギンチャクなどを飼育するマリンアクアリウムをお勧めします。
水槽で飼育可能な海水魚
海水魚の飼育は難しいのか?

飼育器材は殆ど変わりませんが、飼育方法が異なります。
比較的小さな水槽で楽しむことが可能な淡水魚水槽と海水魚水槽を比べてみました。アクアリウムは水量が少ないと水質の変化が早くなり飼育が難しくなります。逆に水量が多ければ多いほど日々の管理は楽になります。そのため、なるべく大きな水槽で飼育をすることをお勧めします。海水魚の飼育を始める時に用意する飼育器材は、淡水魚飼育の機材とあまり変わりません。しかし、循環ポンプは海水に対応しているものを使用してください。また、夏期は飼育水が30℃以上になるために室内のクーラーを使用して水温を下げるか、水槽用のクーラーの設置が必要です。
当然、淡水魚と海水魚は「体の作り」や「食性」、「生存環境」が違うため飼育方法が異なります。セラ社の推奨するアクアリウムの基本は、飼育する生き物が自然界で生活していた環境を考えながら飼育することです。

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生物のよろこぶ飼育方法を考える
海水魚の飼育は、きちんと飼育環境を整えれば決して難しいことはありません。多くの飼育者は、あえて難しい飼育をしている場合があります。簡単に海水魚の飼育を始めるためには、約100L以上の水槽で飼育することをお勧めします。
飼育に必要な最低限の基本知識
海水魚は色々な種類が流通しています。肉食性の魚や毒を持っている魚には注意してください。水槽で飼育する種類は、比較的おとなしく成長してもさほど大きくならない種類を選んでください。また、サンゴやイソギンチャクの仲間も毒を持っている種類が存在する為、海洋生物の飼育にはある程度の知識が必要です。
流通している淡水魚と海水魚の違い!
海水魚は海で漁師によって捕獲された魚が殆どです。当然、寄生虫や病気のリスクもあり自然環境から水槽の環境に馴染むまで時間がかかります。淡水魚は人工的に孵化させている種類が非常に多く、これらブリードの個体は人間が水槽内で繁殖した魚のため水槽飼育に慣れています。種類は限定されますが、ブリード個体の海水魚であれば比較的容易に飼育が可能です。
流通している淡水魚と海水魚の違い!
サンゴとイソギンチャクの違い!
サンゴやイソギンチャクなどは無脊椎動物に分類されます。無脊椎動物とは、簡単に説明すると背骨の無い動物の事でタコやクラゲ、エビなども含みます。サンゴは骨格の形成を行わないソフトコーラルと、骨格を形成しながら成長するハードコーラルに分かれます。ソフトコーラルは光合成によって栄養を摂取するため比較的飼育が容易です。ハードコーラルは骨格の形成のためにより多くのミネラル成分を必要とし、中には動物性プランクトンを栄養源として給餌が必要な種類もいるため少し難しいとされています。イソギンチャクは光と動物性プランクトンに依存しますが水中のミネラルも必要になります。また、イソギンチャクを飼育する時は強い毒を持っている種類がいますので取り扱いには十分注意してください。始めはクマノミと共生するサンゴイソギンチャクやシライトイソギンチャクなどがお勧めです。
無脊椎動物
海水魚は淡水魚に比べ、多くのヨウ素とミネラルを必要とします。また、水質の汚染を最小限にするためには、リン酸塩の少ない消化吸収に優れた餌を給餌することが重要です。冷凍餌の給餌は水質汚染の原因になりますので、FD製法のクリルやブラインシュリンプをお勧めします。サンゴやイソギンチャクにも個々が必要とする栄養を給餌してください。
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海水魚のための健康フード
個々の食性に合わせた給餌が大切で必ず複数の餌を与えましょう。過剰な給餌は水質汚染に繋がりますので注意してください。
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無脊椎動物のための必須栄養素
多くの無脊椎動物は水中に含まれるミネラル成分を吸収して育ちます。そのため、ミネラルの添加が必要です。また、一部のハードコーラルやイソギンチャクには、プランクトンフードの給餌が必要です。
無脊椎動物のための必須栄養素
飼育水は、水道水やRO水に人工海水を溶かし塩分濃度を調整すれば簡単に飼育水を作ることが出来ます。飼育水の適正水温は約24~26℃です。そのため、夏期は飼育水の冷却が必要になります。また、魚の排泄物から生成されるアンモニアや亜硝酸を効率よくろ過するシステムを取り入れて下さい。
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汚染物質の化学変化
魚の排泄物は水中でアンモニア(NH3)やアンモニウム(NH4)に変わります。有害なNH3と無害なNH4は水中のpH値によって変化します。弱酸性の淡水水槽の場合、排泄物は無害なNH4に変化し、海水魚水槽の場合はpH値が常に8以上あるため排泄物は危険なNH3に変化します。そのため、海水魚の飼育においてはNH3を早期に除去する事がとても重要です。
汚染物質の化学変化
淡水魚と海水魚の飼育の大きな違い
1cmの海水魚が必要とする海水は「約2リットル」です。1cmの淡水魚が必要とする水量は「約1リットル」です。同じ水槽のサイズで比べた場合、海水魚は淡水魚の半分の数しか飼うことが出来ません。そして、魚の排泄物を浄化するための海水水槽のろ過面積の大きさは、淡水水槽のろ過面積の「2倍」必要になります。海水魚の飼育と淡水魚の飼育は似ていますが大きく異なります。よって、海水魚の飼育のポイントはより効果的で能力の高いろ過材の使用が重要です。単に大きなろ過槽(オーバーフロー)にしたからといって、上手に飼育ができる訳ではありません。生き物の排泄物を確実に生分解するためのろ過面積を要するろ過システムを使用してください。
淡水魚と海水魚の飼育の大きな違い
プロテインスキマーは、細かい泡の特性を利用して水中のタンパク質を除去してアンモニアの発生を軽減することが出来ます。必要に応じて使用してください。
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海水魚の飼育例

イソギンチャクと共生するクマノミの仲間は、イソギンチャクの毒に対する免疫を持っています。クマノミはイソギンチャクの触手を隠れ家にして、イソギンチャクはクマノミの餌のおこぼれや排出物を栄養分として取り込みます。クマノミは種類によって宿主とするイソギンチャクが異なります。

例)クマノミは、シライト・サンゴイソギンチャクを好みます。
  カクレクマノミは、センジュ・ハタゴイソギンチャクを好みます。
小型ハゼ(イトヒキハゼ属・アオ八ハゼ属・ネジリンボウ属)の仲間は、テッポウエビ(アルフェウス属)と共生します。視力の弱いエビは砂地に魚の棲み処になる巣穴を作ります。そして、魚はエビに危険を知らせ食べ物を供給します。水槽内の砂地に小さな岩を置き、岩の下を指で少し堀って小さな穴を作って置きましょう。最初にエビをグラスに入れ逆さまにして、岩の下に作った穴に被せます。エビはその小さな穴を利用して巣穴を作ります。それから、グラスに入れたハゼをゆっくりエビの巣穴に持って行ってください。このようにすれば、水槽内の観賞し易い場所で共同生活を観察することが出来ます。
エビの仲間は水槽内の残り餌を食べるのでとてもお勧めの生き物です。アカスジモエビは、「クリーナーシュリンプ」と呼ばれ、魚たちの寄生虫を駆除してくれます。アカスジモエビは2匹入れてあげましょう。なぜならば、両性具有のために2匹入れれば必ずペアになり、仲良く生活する姿を鑑賞することが出来ます。
藻類を主食とするウニの仲間は水槽内の苔対策にとても有効です。また、オニヒメブンブク(ウニの仲間)は砂の中に潜り低砂の掃除をします。ナマコ類も餌を探す際に底砂を掘り返すことから底砂掃除屋さんとして重宝します。しかし、ナマコの中には魚にとって有害な物質を排出する種類もいるために、購入前によく相談してから水槽に入れるようにしてください。
飼育を始めるためには海水を作らなければなりません。水道水に含まれる塩素や重金属などの有害物質をseraアクタンで中和してから人工海水(塩)を溶かして海水を作って下さい。水道水(25℃)に溶かし込む塩の量は、比重計で測定しながら約1.022~1.024/㎤の濃度に合わせてください。海水は予めバケツで作り、循環ポンプで撹拌しながら24時間エアレーションをして完全に塩が溶けきった海水を使用してください。天然の海水は毎回安定した綺麗な海水が手に入るとは限らないためお勧めしません。
水槽の底砂には、やや粗いサンゴ砂と細目のサンゴ砂を約3~5cm程敷き詰めてください。サンゴ砂は見た目も美しくサンゴ砂に含まれる石灰が水質(pH値)の安定に役立ちます。サンゴ砂は濯いだ水が透明になるまで根気よく洗ってから水槽に入れて下さい。次に、ライブロックを水槽に配置します。ライブロックは水槽に入れる前に水道水で洗う必要はありません。水槽立ち上げから約2週間は生き物の導入は控えて、1日に10~12時間ライトを点灯して下さい。1~2週間の間に茶色の苔が出始め、次に緑色の苔が出始めます。この緑色の苔が発生した時が、最初の生き物の導入時期の目安です。
水槽内に使用するライブロックは、良質なものを使用すれば様々な生き物やサンゴがライブロックから発生します。しかし、粗悪なものはバクテリアや海綿などの腐敗物から水質を悪化させる原因になります。ライブロックは「水槽立ち上げの魔法の石」ではありません。
魚をたくさん入れたい気持ちを抑え、最初は無脊椎動物から様子を見ながら徐々に生き物を増やして下さい。最初に魚を導入すると餌と排泄物から水質の悪化を招くため我慢が大切です。無脊椎動物が水槽内で数日間元気でいる事を確認してから魚を入れて下さい。初期の段階で水槽に入れる魚の量は、最終的に飼う魚の30%程が目安になります。海水魚は気難しい種類が多いため、購入の際は専門的な知識が豊富なお店で相談しながら魚を選んでください。購入した魚は水槽の水温に慣れさせながら、なるべく負担をかけないように水槽へ導入してください。下記の図を参考にして魚を水槽に入れましょう。
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ステップ1-5
日々のメンテナンスは、魚の給餌や定期的な水槽の掃除です。給餌は一日に2~3回程、与え過ぎに注意しながら全ての魚に行き渡るように与えて下さい。水槽の掃除は、ガラス面に付着した苔を掃除してから飼育水を交換してください。水槽を立ち上げて3ヵ月間は、飼育水の約30%を毎週交換します。200L以下の小型水槽の場合は、継続して30%の水換えを毎週行ってください。200L以上の水槽は、飼育環境にもよりますが3ヵ月経過後からは、毎週10%の水換えを定期的に行うだけで安定した水質を維持できます。海水水槽は水槽の水が蒸発することで飼育水の塩分濃度が徐々に高くなるため、蒸発した分だけこまめに真水を足してください。
海水魚の照明器具は様々です。蛍光灯・LED・メタルハライドなど飼育する生き物に合わせたセッティングが必要です。照明は点灯していても光量は徐々に低下します。露出計(光度計)などで定期的に測定し、光量が弱くなる前に交換してください。古い照明は苔の発生に繋がりますので、早めに交換することをお勧めします。
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病気の対処と治療 魚の病気対策
気を付けて飼育をしていても、生き物は体調を崩すことがあります。日々、魚をよく観察して、「餌の摂取量」「目や体表の変色」「呼吸の早さ」などに異変が見受けられた際は病気の可能性があります。もしも、病気になってしまった場合には知識の豊富なお店で早急に相談してください。日々の飼育において、生き物がなるべく病気に感染しないために最低でも4つの事に注意をしましょう。
魚病薬について
UVによる紫外線殺菌灯は病気の予防に効果があります。しかし病気になった魚を治すための道具ではありません。殺菌灯は水中に浮遊している菌を減らす装置のため、空気清浄器みたいなものと考えてください。
海水魚や無脊椎動物は夏場の高水温に耐えることが出来ません。水温を下げるためには、部屋のクーラーで室温を下げるか、水槽用のクーラーを使用してください。常に一定の適正な水温を維持することは、魚の健康にとても重要です。
無脊椎動物の不調
水槽内の環境が良いにも関わらずサンゴが衰弱する場合、サンゴに悪戯をしている生き物を見つけてください。
また、飼育水のリン酸塩や硝酸塩の濃度が高くなると、魚はバクテリアに関与する病気に感染します。このバクテリアに関与する病気は、白点病やトリコディナ病に感染する前の病気です。リン酸塩や硝酸塩を低く維持することで病気の感染率を下げることが出来ます。
無脊椎動物の不調

魚は犬や猫などのペットのように常にスキンシップを行うことは出来ませんが、魚も我々飼育者に愛嬌のある仕草で答えてくれます。いちど飼育を始めた魚たちには愛情をもって接してください。

大切なペットの健康は、飼育者の飼育方法で決まります。
魚を健康的に飼育するためには、アンモニアや亜硝酸塩の対策はもちろん、硝酸塩(NO3)やリン酸塩(PO4)にも注意してください。NO3やPO4は、苔の発生原因だけではなく、バクテリアに関与する病気を引き起こす原因になります。
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