2022年10月15日
水生生物の飼育講話
都立南多摩中等教育学校の先生より、生徒様にむけて「日本の飼育とドイツの飼育の違いについて」講話のご依頼を頂きました。
学校では小さな水槽で熱帯魚やメダカなど、様々な水生生物を通じて飼育を学んでいるようです。
以前、東京都立小山台高等学校で講話した内容よりも、中学生向けに内容を修正してお話をしてきました。
今回の内容は
Ⅰ.自然動物について考える
Ⅱ.ドイツと日本の違いとは
Ⅲ.水槽で生き物を飼うために
Ⅳ.アクアリウムの水質
<アクアリウムの講話>
日本では、気軽に始められるアクアリウムですが、ドイツでは始める前によく考え、学ばなければならない事を説明致しました。ドイツでは、アクアリウムはペット飼育であり、犬や猫のように、飼育者が責任をもってより良い環境で飼育する事が定義されています。
例えば、
日本の綺麗な渓流に住む「ヤマメ」を飼いたいと思った場合。
ヤマメの生息域、生態、水質、環境、食べている物など、色々なことを調べなくては上手に飼育する事が困難です。
当然です!!
もし、南米アマゾン川に生息している「ネオンテトラ」を飼いたいと思ったら、ネオンテトラの生態、食べている物、そして、アマゾン川の水質を知らなければ、上手に飼育する事は困難です。
当然です!!
例えば、ドイツでは
- ネオンテトラは群れで生活しているのか!
- 流木や水草の生い茂る薄暗い場所に隠れているのか!
- お水は、やや褐色の泥水の様な水なのか!
- プランクトンや小さなエビを食べているようだ!
- 時に苔や水草もつついているらしい!
- 最適な弱酸性の軟水を準備しよう!
このように、水槽のレイアウトはアマゾン川の再現が普通に行われます。群れで泳ぐ魚には当然大きなサイズの水槽が用意されます。
しかし、日本の多くの場合
- 水槽が小さいから10匹ぐらいで始めよう
- 綺麗で丈夫な水草を少し植えてみよう
- 当然、透明な水が良い
- このエサで1年持ちそうだ
- 水道水の塩素は除去しよう
これほどに違うのです!
どうですか?ドイツの飼育はマニアックですか?
日本の飼育の方が実験的でマニアックじゃないですか?
学生の皆様は、とても驚いていましたが・・・・
「言われて始めて気づかされました」との反応です。
とても嬉しい限りです(*´▽`*)
そして、実際の水槽の飼育水を測して、お水の可視化!!
セラ アクアテストボックスを実際に使用して水質測定です。
<水質測定の実習>
3つの班に別れ、それぞれに気になる水槽のお水を測定しました。
金魚の水槽、熱帯魚の水槽、海水魚の水槽
それぞれに、pH値・kH値・gH値・NH4/NH3・NO2・NO3・PO4を測定します。
管理が行き届き、アンモニアや亜硝酸は検出されませんでした。
素晴らしい(^O^)/
硝酸塩が少し検出された水槽もありました。
<最後のご挨拶>
ドイツと日本とでは、始める時の認識が大きく違うことを知って頂きました。
また「研究飼育」「養殖飼育」「ペット飼育」などの目的の違いによって飼育方法が大きく異なる事も理解して頂きました。
今回の講話が、生徒様たちの生き物との向き合い方に、新しい考え方が増えたことに喜びです。
「見方を変えると解決する」
アクアリウム以外にも当てはまる事がきっとあるはずです。
今回の講話に参加された皆様方には心よりお礼申し上げます。
また、ご協力いただきました先生方にも深く感謝申し上げます。
有難う御座いました。
※講義のご相談はお問合せよりお願いします。