ご愛用者 各位
先般、インターネットやSNS上で弊社取り扱い製品に対する誤解を招く投稿が拡散され、皆さまにご心配や疑問を生じさせてしまったことを深くお詫び申し上げます。ここに、インターネット・SNS等に見られる誤った情報の一例と、その正確な情報を提供させていただきます。
弊社は、アクアリウムを楽しむ飼育者の方々と飼育されているペットの尊厳を守り、また販売店さま、ご愛用者さまを始め、多くの応援してくださる方々に誠意を持って活動を続けてまいります。
株式会社セラジャパン
代表取締役 菅野大輔
本記事は、
インターネットやSNS上で議論されている「シポラックスはpH値を上昇させる」という情報について、弊社なりの見解を説明させて頂きます。また、ネットの情報を見て、シポラックスのご使用に疑念や不安を感じられている方々が安心してアクアリウムにご使用頂けることを心より願います。
目次
◆実験結果
◆Q&A
◆最後に~
シポラックスとは
SERAシポラックスは、水槽で観賞魚を飼育するアクアリウム用のろ過材です。シポラックスは、水槽で生き物を飼育することで発生する有害なアンモニアや亜硝酸、硝酸塩を除去する為に、バクテリアを定着させる製品です。バクテリアは、フィルター内部に設置したシポラックスの壁面に定着し、有害なアンモニアや亜硝酸、硝酸塩などを無害な物質へ変換します。この硝化作用により、閉鎖された水槽環境でも観賞魚を飼育することが出来ます。世界中で愛用されているシポラックスは、類似するセラミック製のろ過材とは大きく異なり、ガラス製のろ過材です。
なぜガラス製にこだわっているのか説明します。
ガラスから作られている理由
シポラックスは、自然のろ過サイクルからヒントを得て、珪砂(石や砂に含まれるガラスの主原料)から作られているガラスを使用しています。そして、ガラスの特性上は水質に影響を及ぼさないことから、シポラックスは継続して水質を変動させないため、様々なアクアリウムに使用することが出来ます。
使用方法について
シポラックスは、金魚、鯉、メダカ、熱帯性の淡水魚、そして、海水魚の飼育にも使用できます。外部フィルター、内部フィルター、オーバーフロー等の様々なろ過装置にろ過材として設置してご使用ください。開封時のシポラックスには、白い粉(ガラスの粉)が付着しています。白い粉自体は、シポラックスが擦れ崩れたガラスの粉末です。ご使用前には、水道水で軽く濯いでから使用してください。この白い粉自体は、言うなれば珪砂の粒なので細かい砂と同じため、魚に悪い影響を及ぼすことはありません。
シポラックスは、
「アクアリウム用のろ過材」です。
「ガラス製のろ過材」のため
「継続して水質を変動させない」ことが特徴です。
「水道水で軽く濯いでから使用」してください。
シポラックスについて
より詳しくはコチラ
昨今、インターネットやSNS上でシポラックスシリーズに対する誤解を招く投稿が拡散され、お問い合わせが増えております。
「シポラックスはpH値を上昇させますか?」
「シポラックスはTDS値を上昇させますか?」
「シポラックスは弱酸性アクアリウムに使用出来ますか?」
「シポラックスは水草水槽に使えますか?」
弊社にて、議論されている情報について、いくつかの実験を行ってみました!
先ずはシポラックスを使用した際のpH値の変動を調べてみます。
<pH値変動の実験>
1Lほどの容器に水道水を入れ、少々過剰な量のシポラックスを容器に投入し、止水状態で24時間経過後のpH値を比べてみました。
右側:水道水のpH値
左側:シポラックスを入れて24時間後のpH値
比較してみると
pH値は「7」から「8」に上昇!!!!
TDS値は当然上昇するので割愛します。
※TDSについては下記ご参照ください
しかし、これはアクアリウムを前提とした使用方法ではありません!
正しい使用に従った検証実験を行っていますので最後までご覧ください!
このような実験において、シポラックスを沈めた水が弱アルカリ性の反応になることは、製造元のドイツSERA社も認識しています。製造過程において取り除くことが出来ない微量のアルカリ性物質が付着している為です。しかし、一般的なアクアリウムにおいて、正しく使用した場合は飼育水のpH値が著しく上昇する事はないとの見解です。
本当に問題がないのか、更に実験していきます。
弱酸性のアクアリウムには不向き・・・?
水草は育たない・・・?
これらの謎に興味のある方は最後までご覧ください!!
<アクアリウムを想定した実験>
シポラックスはアクアリウム用のろ過材です。使用前に軽く濯いでろ過フィルターに設置します。使用量は淡水水槽の場合、飼育水100Lに対し290gの使用をセラジャパンでは推奨しています。(ドイツSERA社推奨:200Lに対し290g)
前述の使用方法に準じ、14Lの水槽に対し40gのシポラックスをフィルター内部に設置して、pH値の変動を測定してみます。実験は「Ⅰ. 水道水」「Ⅱ. 弱酸性の水」「Ⅲ. 海水(弱アルカリ性)」で同様の実験を行いました。
Ⅰ. 水道水に入れて24時間後
pH値「7」の水道水が「7.5」まで上昇しました。
(若干上がりました)
Ⅱ. 弱酸性の水に入れて24時間後
スーパーピート使用のpH値「6.5」の水は、多少の上昇「6.5以上~7.0以下?」です。
(多少の変化)
Ⅲ. 海水に入れて24時間後
pH値「8」の海水は、24時間後も変わらず「8」です。
(変化なし)
※セラ社のpHテスト(試薬)では、「0.1」「0.2」などの細かな数値の差を測定する事が困難です。本検査は微量な上昇を確認する事が目的ではありませんのでどうぞご理解ください。
結論:
使用量を守って正しくご使用頂ければ、若干の上昇はあるものの大幅なpH値の上昇は起きませんでした。シポラックスは水道水で軽く濯いでからご使用頂ければ、特に大きなpH値の変動がないことが分かります。
しかし・・・
本当にシポラックスがpHを上げているのか?
この疑問を解決するために、同様の水槽においてろ過材(シポラックス)をあえて使用しないフィルターを準備して、24時間水を回してからpH値を測定してみます。シポラックスの”有る” ”無し”で比較をしなければ、シポラックス自体のpH値変化について論じることが出来ません。
次の実験は、興味深い内容と思いますよ。(^O^)/
必見です。
<シポラックス無しで実験>
シポラックスを使用した際のpH値の変化については、前項で3つの異なった飼育水で実験をしました。若干pH値が上昇する事が分かりましたが、本当にシポラックスがpH値を上げているのか疑問が残りました。ここで1つ追加の実験を行ってみます。
ろ過材を一切使用しないで、24時間水を回した後のpH値はどうなるのか?
24時間後、pH値は「7」から「7.5」に変化しました。
水を回しただけでもpH値は上昇しました!
えっ????
先に実験した「水道水にシポラックスを使用して24時間後」と「水道水にシポラックスなしで24時間後」の結果が同じになりました。
Ⅰ. 水道水にシポラックスを入れて24時間後
Ⅳ. 水道水をポンプ循環(ろ材なし)した24時間後
【 シポラックスの有無に関係なく!】
【pH値は「7」から「7.5」に上昇!】
上昇する理由について解説していきます。
アクアリウムの水質の変化
一般的な水道水はpH値「7」前後です。そして、水道水から飼育を始める場合、飼育水のpH値はおよそ「7」前後からスタートします。そして、水槽はろ過器などの循環ポンプで飼育水を拡散した状況になります。よって、十分な酸素が水中に溶け込み、逆に二酸化炭素が大気に押し出され、pH値は上昇する傾向になります。また、水道水に含まれるミネラルや底砂や装飾品の岩に含まれるミネラル成分は、微量ですがpH値を上昇させる要因になります。
何もしなければpH値は上昇する
アクアリウムは、必ずpH値が上昇するとは限りませんが、常に様々な要因によりpH値の上昇や下降が飼育水中で繰り広げられます。ミネラル成分の上下、酸性物質の上下、酸素や二酸化炭素の上下など、アクアリウムでは常に不定期に、そして、定まらない量が発生したり、消滅したりします。その為、pH値は常に上下する可能性があります。
飼育水は必ず調整してください!
シポラックスは使用初期にpH値を上昇させるかもしれませんが正しい使用量であれば気にする必要はありません。それよりも、ポンプ循環するだけでpH値が上がってしまう事を念頭に入れて水質を考えなければなりません。
さて「弱酸性アクアリウムはどうやるのか?」「水草水槽は出来るのか?」多くの疑問が残ります。少し難しい話になりますが、その疑問を解決していきます。
弱酸性アクアリウムのセッティングは?
水道水を水槽に入れ、ポンプで拡散するだけでpH値が上昇する事が分かりました。それでは、弱酸性のアクアリウムを始めるにはどのようにすれば良いのか解説していきます。
もし、弱酸性のアクアリウムを安全に楽しむためには、安全で有益な「酸性物質を飼育水に溶け込ませる」か「二酸化炭素」を水中に溶け込ませる必要があります。弊社では、スーパーピートによるフミン酸とフルボ酸によって、飼育水のpH値を下降させることをお勧めしています。スーパーピートを使えば、ろ過材にシポラックスを使用しても、適度なミネラルを添加しても、pH値がアルカリ性になることはありません。
水草育成とpH値について
水草を主体にアクアリウムを考えると・・・
当然、低いpH値で硬度の低い水で育成する事の利点はあります。その為、pH値や硬度を上昇させる製品は「水草に悪い」と評価される傾向は良くある話です。シポラックスは、硬度を上昇する事はありませんし、pH値を極端にアルカリ性に傾けることもありません。
しかし「pH値が高く水草が上手に育たない」ということも事実です。これはpH値だけの問題ではありません。下記BLOGをご参照いただければ、アクアリウムにおいてkH値がとても重要な事が分かります。
pH値が高くても、水草を育てるためのヒントはあります!
TDS値に関しましては、近年、間違った見解がSNSやネット上に多く見受けられますのでご注意ください。
「TDS値は硬度を測定している為、TDS値の高い飼育水はアクアリウムには不向き」や「TDSは汚れの目安だから、TDS値の高い飼育水は汚い」との情報が見受けられます。しかし、TDS値は硬度(gH値)や汚れ具合を測定しているとは限りません。簡単に言うと硬度も汚れも測定しています。よって、アクアリウムの指標として用いるには一定の条件と正しい見解を必要とします。
仮にTDS値「0」のRO水に対し、ミネラルだけを添加した場合、TDS値で硬度を判断する事は可能です。しかし、生き物を飼育している飼育水の場合、ミネラル以外の不純物や汚れにも反応する為、硬度だけを測定することは不可能です。
一部の情報にあるような「TDS値上昇=不適切な製品」と断定する事は、あくまでも個人の主観であり、化学的根拠に基づいていない場合がありますのでご注意ください。
TDS値の上昇は・・・
・砂を入れる
・エサを与える
・水槽に手を入れる など
通常の飼育を行うだけでも飼育水のTDS値は上昇します!
補足になりますが・・・
水族館や学術的研究レベルにおいてはTDS値の上昇は水生生物の飼育において注視する項目になる場合があります。ドイツの海洋水族館では、ろ過材にシポラックスを長期的に使用し、TDS値の減少に役立ったとの報告もあります。しかし、一般的なアクアリウム飼育においては、TDS値よりも気にすべき水質が多くある事をご理解ください。
TDSについては、下記のBLOGをご覧ください!
>>>TDSってなに?
>>>アクアリウムのTDS値
ろ過について
一般的には、水槽で生き物を飼育すると水が汚れます。水質汚染の原因は様々ですが、汚れた水は生き物に害があり、pH値が下がる傾向にあります。そのため、ろ過フィルターを設置して、生き物の排泄物から生成される有害物質をバクテリアによって分解ろ過することが必要になります。
アクアリウムにおいて、とても重要なポイントの1つが「ろ過」です。そして、ろ過能力はろ過材の量に比例しますが、水槽設備全体を考慮すると、なるべく小さなろ過フィルターで完結させたいところです。よって、より機能性の高いろ過材の使用に行き着きます。
そこで、シポラックスが如何に優れているのか解説します。
シポラックスの働き
アクアリウムにおいて、ろ過材に求める目的は様々です。ろ過材の種類は、物理的に汚れを取り除くろ材、バクテリアによる生物ろ過を促すろ材、水を透明にするろ材、水質を調整するろ材など、色々な製品があります。シポラックスは、バクテリアによる有害物質のアンモニアや亜硝酸、硝酸塩を分解することを目的とした生物ろ過材に該当します。
当然、著しく水質を変化(pH値の上昇や下降)させるろ過材は適切ではありませんが、ろ過材本来の目的は排泄物から生成される有害物質を確実に分解させることです。
類似品との比較
SERA社では「シポラックス」によく似たリング形状のろ過材に「バイオパー」と「バイオパーフォルテ」という製品があります。どちらも白いリング状の形状をしていますが、最もろ過能力に優れた製品は「シポラックス」であり、「バイオパー」や「バイオパーフォルテ」はあくまでもサブのろ過材として位置付けられています。
また、他社ろ過材の中には、過剰なろ過面積を謳っている製品がありますが、消化バクテリアの生物学的活性において最適な条件は、1L当たり270㎡の定着面積が唯一最適な環境を作り出します。この条件を満たすろ過材は「シポラックス」しかありません。
弊社では、バイオパーやバイオパーフォルテはお勧めしておりません。1箱あたりの単価はお求めやすい価格なのですが、ろ過能力で比べると価格はシポラックスより割高になります。セラジャパンでは既にバイオパーの取り扱いは無く、バイオパーフォルテに関しましては、在庫限りの販売となり取り扱いを終了とさせて頂きます。
下記のろ過能力の比較写真をご覧ください!
これは、同等のろ過能力になります。
同じ水量をろ過するのに必要なろ過材の量です。
安価なろ過材(バイオパー)はたくさん必要ですが、高性能なろ過材(シポラックス)ならば少ない量で水質浄化が叶うという事です。
シポラックスはセラミックろ過材の34倍
シポラックス以外は生物ろ過材としてお話になりません(笑)
バイオパーやバイオパーフォルテ!!!
これらは、粗悪なろ材!と言われても仕方ありません(笑)
購入されたろ過フィルターにろ過材を入れ安心している方は、そのろ過材が本当に飼育水が浄化処理されているか確認してみてください。もし、NH4/NH3(アンモニア)・NO2(亜硝酸)・NO3(硝酸塩)が飼育水から検出されるならば、ろ過材の見直しをお勧めします。
一部、インターネットやSNS上では「シポラックスを使用するとpH値が上昇する」との情報が拡散されております。しかし、これらの検証は、使用量を大幅に超えた実験から得られたものではないかと思われます。もし、大量のシポラックスを過剰にフィルター内にセットする場合は、pH値に注意を払いながら扱う必要があるかもしれません。
お問い合わせの多いご質問に回答していきます。
Q. シポラックスはpH値を上昇させますか?
A. pH値を上げる効果はありません。
但し、大量に使用した際はアルカリ性になる事があります。
Q. シポラックスはTDS値を上昇させますか?
A. TDS値は上昇します。硬度を上げる訳ではありません。
Q. シポラックスは硬度を上昇させますか?
A. 硬度は上がりません。
Q. シポラックスは弱酸性アクアリウムに使用出来ますか?
A. 使用出来ます。
Q. シポラックスは水草水槽に使えますか?
A. 水草水槽にも使用できます。
Q. シポラックスは使用前に煮た方が良いですか?
A. 軽く濯いでご使用ください。
pH上昇が気になる方はpHマイナスをご使用ください。
Q. 類似品となにが違うのですか?
A. バクテリアの定着面積が大きく異なります。
幾度もお伝えしますが、シポラックスは” ガラス製 ”です。
ガラスそのものは「pH値に影響を与えない」特性があります。そして、ガラスから作られているシポラックスの特性上はpH値に影響を及ぼしません。
また「適正量の使用であればpH値に影響のない」製品です。
当然、使用している間、水槽の飼育水を「継続的にpH値を上げることはない」ことをお伝えします。
しかし、製造過程で付着したアルカリ性物質により、大量に使用した場合「pH値を上げる」可能性がありますのでご注意ください。
今回の実験結果から、水を回すだけでもpH値が変化することが分かりましたので、飼育する生き物に合わせて、水質の測定と水質の調整を気にしてみて下さい。
熟練の先輩飼育者様が、これから始める初心者の方が失敗しないように多くの情報を配信していることは大変喜ばしい事です。しかし、SNSやインターネットには、個人的な主観や化学的に裏付けのない不確かな情報なども多く拡散されていることもあります。どうしても都合の良い情報に耳を傾けがちになりますが、よく精査して、大切なペットに向き合ってください。
弊社では、
1,情報に惑わされて上手に飼育でできない方
2,身近に親身になって相談できるお店がない方
3,観賞魚をペットとして迎い入れたい方
4,病気との格闘アクアリウムに頭を抱えている方
5,初心者で恥ずかしく、誰にも相談できない方
いつでもご相談ください。
困っている方に解決の糸口を見つけるお手伝いをするメーカーでありたいと思っています。
もし、お困り事が御座いましたら、下記”メール”や” X ”からご相談ください。
Xでは、飼育や製品のご相談を受け付けています!
>>「#教えてセラ」を付けて投稿してください。
この度は、SNSやネットの情報により、多くのご愛用者様よりご心配の声を頂きました。
ご心配頂きました皆様には心よりお詫び申し上げます。
また、これからも変わらぬご支援を引き続き賜りますよう、心からお願い申し上げます。