アクアリウムでよく耳にする「pH/ペーハー」
今回は水草育成に関するpH値について解説します(^O^)/
目次:
<まとめ>
アマゾン川のネオンテトラやディスカスの飼育は・・・
「飼育水を弱酸性にした方がよいですよ」って言われますよね!
ようするに、pH値を7.0以下、pH値を6.5~7.0に合わせなければなりません。
逆に、金魚やグッピーなどは弱アルカリ性を好む為、pH値を7~7.5に調整しなければなりません。
さて問題です!!!!
水草は?という事です。
基本的には、生息(自生)していた水域のpH値に合わせることが基本です。
例えば、アマゾン川の水草は弱酸性にして、アジアや北米原産の水草は弱アルカリ性が望ましいと言う事になります。
しかし
「水草はpH値を下げないと育たない」
「弱アルカリ性では水草が枯れる」
このようなご質問を数多く頂きます。
そこで今回は、pH値と関係が深いkH値と二酸化炭素についてのお話しです。
kH値について詳しくは→https://sera.co.jp/?p=1698
二酸化炭素について詳しくは→https://sera.co.jp/?p=1744
先ずは下記表をご覧ください!!!!
この表は、飼育水のpH値とkH値からCO2濃度を割り出した表です。
■弱酸性のアクアリウム:pH値6.6/kH値3~4
■弱アルカリ性のアクアリウム:pH値7.4/kH値8~10
この範囲(濃い緑色)であれば、魚も水草もより良い環境であることが分かります。
さて、水草は魚と異なり、水中のCO2を必要とし、光合成により成長します。CO2が不足していると、健全な成長を阻害し、綺麗に育ちません。
当然、CO2以外にも、光や栄養を必要とすることを忘れないでください。
水草に必要なCO2濃度は濃い緑色の範囲になります。
二酸化炭素量が10~58mg/Lの範囲が適正ということです。
過剰にCO2を飼育水に溶け込ませると、pH値が下がる事が分かります。
★pH値は、6.0~7.8に留めることが重要!
水草の育成は、弱酸性でも弱アルカリ性でも可能なことが分かります。
日本のアクアリウムで大きな問題は・・・・
kH値!無視のkH・ムシムシ・飼育水という事です。
もし、kH値が「1」の飼育水を前提に考えた場合
水草が育成可能なpH値の範囲は、6.0~6.6という事になります。
このような化学的事実から、水草は弱酸性でしか育たない!
となるのです。
ここで大きな問題となる事は、飼育水のkH値が1°dkHのデメリットは何か!という事になります。
アクアリウムにおいて、pH値の変動は生き物達にとって望ましい事ではありません。kH値はpH値の変動を少なくする緩衝作用を及ぼします。その為、kH値の低い飼育水は「pH変動のリスク」がある水とうことで理想的ではありません。
アクアリウムでは、閉鎖的な小さな水槽で生き物を飼育している為、常に排泄物が発生したり、呼吸や光合成によって酸素と二酸化炭素が発生します。また、底砂やその他装飾物から酸性物質やアルカリ性物質が発生しているかもしれません。
これらpH値に影響を及ぼす数々の物質が、不規則に飼育水のpH値に影響を及ぼしていることが危険な理由です。その為、kH値を一定の基準値まで上げることで、意図しないpH値の変動を少なくすることが出来ます。海外のアクアリウムでkH値を重要視する理由はここにあります。
もし、自動的にpH値を一定に保つ手法を取り入れている、pHコントロールシステムやスーパーピートを使用していれば、kH値をさほど気にする必要はありません。
よって
★kH値0~1°dkHは注意!
ここで重要な事は
★kH値をある程度高める事!
★pH値に合わせてkH値を調整する事!
これらkH値をコントロース出来れば、弱酸性でも弱アルカリ性でも水草を育成することが可能な事がわかります。
次はKH値について考えていきましょう。
再度、表を確認してみましょう。
巷では「kHを上昇させるとアルカリ性になる」との事ですが・・・
半分正解で半分不正解なのです。
KH値が高かったとしてもpH値は水中に溶存するCO2濃度によって酸性を維持する事が分かります。
現実的な数値として、kH値が4°dkHであっても、CO2濃度が39mg/Lあれば、弱酸性の飼育水を維持する事が可能なのです。この水質の範囲であれば、水草に必要なCO2は十分で弱酸性の飼育水を保てます。そして、kH値があることによってpH値の変動を少なく抑え、安定した水質を維持する事が叶います。
しかし、kH値を気にしないで飼育をした場合、水槽のkH値はおそらく「1~2°dkH」になります。水道水の特徴から、何もしなければkH値は低いままです。
多くの飼育者の方は、水草を飼育する為にCO2を供給しますが、kH値が1~2°dkHのまま二酸化炭素を適度に供給した場合、pH値は6~6.5でしょう。しかし、過剰に添加すると簡単にpH値は5.5付近まで降下します。また、適度に供給し続けた場合でも、数日経過後にkH値が消費された場合には、pH値が5.5以下まで降下する場合があります。
水草は良く育つけど!エビが・・・魚が・・・
このような飼育者の水質は、kH値が極めて低いことが原因かもしれません。それでは、kH値を上げるためには何をすればよいのか・・・・
さて、問題です(*´▽`*)
どうやってkH値を上昇させるか!!!!
・・・・・・
答え:kH/pHプラスを添加しましょう。
これでは単に商品PRになりますので、もう少しお話を・・・
ミネラルと二酸化炭素を飼育水に足してください。
簡単に言うと、ミネラルとCO2からkHが生成されます。
KH値は、化学的に「HCO3」を測定しています。
日本の水道水のような軟水の場合、アクアリウムにおいてミネラルが足りていないという事になります。自然界では雨水が地下から湧き出る際に多くのミネラルが抽出され、ミネラルウォーターとして河川に注がれているのです。
★アクアリウムはミネラル不足
でわ!どうやってミネラル不足を補うのか??
答え:ミネラルソルトを添加しましょう。
ミネラルとは、大半がカルシウムやマグネシウムのことです。
生き物が摂取し、骨や鱗の形成に必要だと思われがちですが・・・実は生き物を取り巻くお水にも、とても重要だという事です。
【余談】ドイツでは水道水の硬度が日本よりも高いです。その為、ドイツのアクアリウムでは硬度を下げることが必要です。この情報がそのまま日本に定着し「アクアリウムは硬度を下げる」が古くから定着してしまいました。軟水生成器のRO浄水器の普及も硬度の高いヨーロッパでは一般的な事もうなずけます。
さて、アクアリウムは化学的に難しく考えないでください。「自然の水=ミネラルウォーター」だから、飼育水はミネラルウォーターにしよう(^O^)/
ミネラル濃度は、飼育するアクアリウムに合わせてgH値を測定しながら調整してください。gH値の測定には、sera gHテストを使用すれば簡単に測定する事が出来ます。
上手に水草を育成する環境は、弱酸性でも弱アルカリ性でも問題ありません。しかし、pH値だけに捕らわれず、kH値と溶存二酸化炭素量を気にすることが大切です。
アクアリウムでは、常に水中で色々な物質が複雑に関係しているという事を気にしてみてください。
そして、安心して魚と水草を育成する為には、pH値の安定と適度な二酸化炭素量を維持しながら管理することが大切です。是非、CO2の添加に合わせて、ミネラルソルトとkH/pHプラスを使用しながら、最適なkH値を維持して緑豊かな水草アクアリウムを楽しんでください。
当然、「光」・「二酸化炭素」・「栄養素」も重要です。
水草の飼育情報の詳しくは
水草ガイドを参考にしてください!
最後になりますが・・・
水草愛好家の中には、pH値6以下の水質維持に拘る方がいます。又、ディスカスやアピストの繁殖をされている方の中にもpH値6以下を目指す方がいます。当然、低いpH値(5.0~6.0)が望ましいアクアリウムも存在します。しかし、この水質維持はとても特殊でピンポイントの水質ということを念頭に置かなければなりません。
参考までに、ドイツではこのような低pH値を維持する為には、pHモニターとCO2ボンベを組み合わせた「pHコントロールシステム」の構築を行います。pHコントロールシステムは、設備費用が掛かりますが、自動的に任意の設定したpH値を維持するためのシステムです。pHコントロールシステムを導入しないで、調整剤だけで飼育者がマニュアルで調整する事は非常に難しい水質になります。
アクアリウムが上手くいかない方は・・
この難しい水質を目指しているかもしれません!
今回は水草に最適なpH値について解説して来ました!
pH値が低ければ溶存二酸化炭素は増え、水草育成にメリットがある事がわかります。しかし、注意しなければならない事はpH値変動リスクです。初心者の方が安心安全に水草水槽を楽しむためには、pH値は6.6~7.2程に留めるほうがやり易いという事でした。
pH値にだけ捕らわれず、kH値やCO2濃度も気にしてみて下さい。